【2025 カレンダーの人気アイテム】 コバルト青着色で巻き製法、結婚持参金とされた瑠璃色のドゴン・ビーズ　オランダ製

深い瑠璃色のビーズで、光に透かすと内側から藍色があふれ出てくる美しさをもつ、ラピス・ラズリのような鮮やかな濃い青色のビーズです。1700年代、あるいは、少し後の19C初期にオランダで制作されたドゴン・ビーズです。
　本品は、貴重なコバルト青を着色剤に用いた、濃紺で深い瑠璃色が美しく輝きます。胎の表面には、高い温度でガラス製造とビーズ制作ができず、融点が低いときにできる古いガラスの特徴を示しています。制作時にできた小さな気泡跡の孔や大きめのC型の凹みが多く見られます（3,4枚め）。また、光をあてますと、芯孔の周辺に多数の気泡が連続し、胎全体にも多くが浮かび、まさに夜空に光る星のように散らばっています（6枚め）。
　穿孔面で芯の周りなどに巻いた跡が見られ、巻き製法で制作されたことを示します。また、穿孔面は平で、マーベー板に押しつけて成形したようです。
　深いコバルト・ブルーで透き通るような青い、初期ドゴン・ビーズはオランダ製で、ドゴンの人々の間で、結婚の婚資（持参金）や財産とされ、200年以上にわたってドゴンの女性の間で相続されました。
　1600-75年ころに、濃紺や白の巻きビーズが銅合金に付けられたイヤリングが研究書に残されています。ドゴンの人々は、18-20Cに、他の交易品なかでも、とくにこれらビーズを入手するために、毛皮、燃料、そして他部族の奴隷などと交換したとされています。
　オランダは、西アフリカではベネチアを含む他のヨーロッパ諸国よりも、探検家が早期に来てビーズを大量に持ち込み、ビーズ交易に深く、直接的に関与しました。ベネチア人のガラス職人が17世紀初めにアムステルダムに移ってビーズ工房を設け、オランダオランダのビーズ製作に大きな影響を与え、こうしたビーズを持ち込みました。オランダ人は、19世紀後半にも交易を続けましたが、オランダ・ビーズ産業に代わりチェコのボヘミア・ビーズ産業が隆盛を極めました。このためマリなど西アフリカで出土する初期ビーズにはオランダ製が多く、そして多くが古いビーズです。
　本品は、コバルト青で濃紺の胎に、小さな気泡が夜空に浮かぶ星のように輝くビーズです。マリ東南部の山地などに住むドゴンの女性も、相続ビーズを日に照らし、涼しい夜空に輝く星を思いだしたのでしょうか。
　サイズ　高さ　約12㍉　幅　約14㍉強　孔径　約5㍉

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